東京都中小企業振興公社の「事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)」第2回の解説です。都内の中小企業者で、令和3年4月以降に事業承継した後継者が対象です。新規販路開拓の経費の2/3以内、上限300万円を助成します。申請は令和8年10月13日から11月12日16時まで、jグランツで受け付けます。
概要(ひと目でわかる要点)
| 制度名 | 令和8年度第2回 事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース) |
|---|---|
| 実施機関 | 東京都中小企業振興公社 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 補助率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 補助上限額 | 300万円 |
| 申請受付開始 | 2026年10月13日(火) 9:00 |
| 申請締切 | 2026年11月12日(木) 16:00 |
| 申請方法 | jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムアカウントが必要) |
| 事業実施期間 | 交付決定日から最大1年間 |
先代経営者から代表権を引き継いだ後継者が、事業承継をきっかけに取り組む新規販路開拓の経費の一部を助成します。取引拡大を通じて中小企業の振興を図ることが目的です。
対象となる事業者
- 東京都内で事業を行う中小企業者(会社および個人事業者)で、大企業が実質的に経営に参画していないこと
- 中小企業の定義(資本金または従業員数):製造業・建設業・運輸業・情報通信業・その他の業種は3億円以下又は300人以下、卸売業は1億円以下又は100人以下、サービス業は5,000万円以下又は100人以下、旅館業は5,000万円以下又は200人以下、小売業(飲食業含む)は5,000万円以下又は50人以下(ゴム製品製造業は3億円以下又は900人以下)
- 法人は申請受付開始日時点で本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内にあり、都内事業所で実質的に事業を行っていること。個人事業者は開業・廃業等届出書の写しで納税地・主たる事業所等の都内所在が確認できること
- 令和3年4月1日から申請日の前日までの間に事業承継(代表権の移転など、法人は同一法人承継・事業譲渡・株式譲渡の類型ごとの要件、個人は後継者の開業と先代の廃業および事業用資産の引継ぎ)をしたことを証明できること
- 法人の場合、後継者以外に黄金株(拒否権付種類株式)の付与がないこと
- 本事業で過去に交付決定を受けたことがないこと
- 実施場所が都内の場合は申請受付開始日時点で都内に登記簿上の本店または支店があること。神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨の各県の場合は都内に登記簿上の本店があること
- 同一テーマ・内容で公社・国・自治体等から助成を受けていないこと(二重受給不可)、事業税等の滞納がないこと、反社会的勢力や風俗営業等に該当しないことなど
こんな事業者におすすめ
- 事業承継後に、展示会出展やECサイト出店で新たな取引先を開拓したい都内の後継者
- 既存製品の海外販売に向けて、多言語サイトの制作や市場調査を進めたい製造業
- 専門家の指導を受けながら、チラシ・動画・Web広告で集客力を高めたい小売・サービス業
補助率・補助上限額
補助率は助成対象経費の2/3以内、補助上限額は300万円です。助成金申請額は経費区分ごとに2/3を掛けて計算し、千円未満は切り捨てます。300万円を超える分は自己負担です。
補助対象となる経費
- 市場調査費(上限50万円)
- 専門家指導費(上限50万円)
- 販売促進費(印刷物製作費、動画制作費、広告掲載費、サイト制作・改修費、EC出店初期登録料、ポップアップストア出店費)
- 展示会出展費(出展小間料、資材費、輸送費、通訳費、オンライン出展基本料)
対象外になりやすい経費
- 製品・サービスの開発・改良の取組、会社を整備するための物品購入等は対象外です。
- 直接人件費、租税公課(消費税等)、間接経費(振込手数料、通信費、光熱費など)は対象外です。
- 土地・建物・車両の購入費、汎用性のあるもの(パソコン、テレビ、文書作成ソフト等)の購入費、中古品の購入・リース費は対象外です(一覧で認められるものを除く)。
- 親会社・子会社・関連会社や代表者の三親等以内の親族が経営する会社との取引、再委託が行われている経費は対象外です。
- 手形・小切手・電子記録債権・電子マネーによる支払い、ポイント利用分は対象外です。現金払いは税抜10万円以下の契約に限ります。
- 自社で行う印刷物・動画の制作、運用費(ドメイン・サーバー費等)を含むサイト制作費、販売管理システムを含むサイト制作費は対象外です。
スケジュールと申請方法
受付開始は10月13日9時。面接審査は令和9年1月28日〜2月3日のいずれか1日(1時間程度)。交付決定日は令和9年2月中旬の予定です(募集要項による)。申請額の集計により予算に達した場合は受理できないことがあります。
- GビズID(プライムアカウント)を取得し、公社ホームページから申請様式と誓約書をダウンロードする
- 事業承継の証明書類、納税証明書、確定申告書の写し、見積書などを準備する
- 申請受付期間中(10月13日9時〜11月12日16時)にjグランツで申請する
- 書類審査を経て、面接審査(令和9年1月28日〜2月3日のいずれか1日)を受ける
- 交付決定後、助成対象期間内(最大1年間)に契約・実施・支払を行う
- 事業完了後、原則1か月以内に実績報告をして完了検査を受け、額の確定後に請求して助成金を受け取る
GビズIDプライムが必要です。発行に時間がかかるため、早めに取得しておきましょう。
審査で見られるポイント
- 新規性(新規販路の拡大を図った取組か)
- 必要性・市場性(企業にとって必要な取組か、顧客・市場に需要がある取組か)
- 実現性(経営体制、事業内容、実施体制、スケジュール、資金計画は実現可能か)
- 優秀性(事業者としての創意工夫が見られるか)
- 自己分析力(自社の現状、取り巻く状況を適切に理解しているか)
審査項目から見た準備のポイント
- 審査の視点に「新規性(新規販路の拡大を図った取組か)」があります。新製品でなくても既存製品・サービスの新たな販路開拓なら対象です。どの顧客層・販路を新たに開くのかを明確に書きましょう。
- 「自己分析力」と「必要性・市場性」が問われます。自社の現状と取り巻く状況、顧客や市場の需要を整理し、なぜその取組が必要かを説明できるようにしてください。
- 「実現性」では経営体制、実施体制、スケジュール、資金計画が見られます。助成金は後払いのため、事業期間中の自己資金の手当ても含めて計画に落とし込みましょう。
- 面接審査があり、出席は代表者・役員・従業員の最大2名に限られます。申請書の内容を自分の言葉で説明できるよう準備してください。
申請前の注意点
- 交付決定前の発注・契約・実施は助成対象外です。納品や支払が助成対象期間を超えた経費も対象外です。
- 助成金は精算払い(後払い)で、交付額は完了検査の結果により交付決定額から減額されることがあります。
- 申請受付期間内でも、申請額の集計により予算に達した場合は受理できないことがあります。
- 面接審査は原則対面で、日程変更ができず、指定日時に来られない場合は辞退とみなされます。同席できるのは事業者の代表者・役員・従業員のみで、最大2名です。
- 書類に不備があると、審査を通過しても交付決定できない場合があります。
- 一契約あたり税抜30万円以上の経費は見積書、税抜100万円以上は2社以上の相見積が必要です(展示会の出展小間料は相見積不要)。
- 交付決定された場合、事業者名、代表者名、所在地、助成事業内容等が公表されます。
- 関係書類は、事業完了年度の翌年度から5年間保管する義務があります。
- 審査に関する個別の問合せには回答してもらえません。
ほじょカツのひとこと
令和3年4月以降に代表を引き継ぎ、展示会やWeb広告、EC出店などで新しい売り先を広げたい都内の後継者に向く制度です。締切は11月12日16時で、残りの準備期間は短めです。
つまずきやすいのは、事業承継を証明する書類です。承継の形(同じ会社での交代・事業譲渡・株式譲渡、個人事業)ごとに、法務局の証明書や株主名簿、契約書などが要ります。法務局の証明書は発行後3か月以内のものが必要です。
準備は、①GビズIDプライムの確認、②承継の証明書類と納税証明書・確定申告書の写し、③税抜30万円以上の経費の見積書(100万円以上は2社以上)、④申請様式の順に進めるとスムーズです。面接審査は1月28日〜2月3日のいずれか1日で日程を変えられないため、この期間の予定も空けておきましょう。
よくある質問
Q. 製品開発や改良の費用も対象になりますか?
A. 対象外です。製品・サービスの開発・改良の取組や、会社を整備するための物品購入等は対象外とされています。既存製品・サービスの新規販路開拓は対象になります。
Q. 助成金はいつ受け取れますか?
A. 助成金は実績に基づく精算払い(後払い)です。事業完了後に実績報告と完了検査を受け、交付額が確定してから請求します。事業期間中は自己資金での支払いが必要です。
Q. 交付決定前に発注した経費は対象になりますか?
A. 対象外です。交付決定を受ける前の発注・契約等は助成対象外です。なお展示会の出展小間料は、申込み・契約が助成対象期間前でも、会期と支払いが助成対象期間内であれば対象です。
Q. 申請にGビズIDは必要ですか?
A. 必要です。申請はjグランツによる電子申請のみで、GビズID(プライムアカウント)が必要です。
Q. クレジットカード払いはできますか?
A. 条件付きで可能です。法人は法人カード、個人は代表者の個人カードで、口座からの引き落とし日も助成対象期間内であることが必要です。分割払いなどで引落しが完了していない場合は対象外です。
問い合わせ先
事業承継を契機とした成長支援事業事務局 TEL:03-4446-4650(平日9時〜16時30分、12月29日〜1月3日を除く)
出典・公式情報
- jグランツ掲載ページ:https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdtCMAT
- 公式サイト:https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shokei-seicho-hanro/index.html
- 資料(第2回募集要項):R8-2_shokei-seicho-hanro_bosyuyoukou_2.pdf
※本記事は 2026年10月30日(金) 時点の公募要領・公式情報をもとに、ほじょカツ編集部が要点をまとめたものです。要件や締切は変更されることがあります。申請前に必ず公式の最新情報をご確認ください。