原材料価格や燃料費、物流費などの高騰が続く中、
「仕入価格が上がって利益を圧迫している」
「価格転嫁を進めたいが、なかなか難しい」
「原材料の使用量や在庫ロスを減らすために設備やシステムを導入したい」
と悩んでいる事業者も多いのではないでしょうか。
東京都では、中東情勢を契機としたコスト高騰等の影響を受け、利益率の低下が見込まれる中小企業等を対象に、「中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」を実施しています。
この助成金では、原材料費の縮減や価格転嫁などにつながる設備・システムの導入等に必要な経費について、助成率4/5以内・最大2,000万円の支援を受けることができます。
現在は第2回募集が行われており、申請期限は令和8年9月30日(水)16時までです。
さらに、今回の申請に間に合わない事業者向けに、第3回募集も予定されています。
第3回は令和8年11月2日(月)~11月30日(月)が申請受付期間となっているため、第2回への申請が難しい場合も、今から制度内容や対象経費を確認して準備を進めておくとよいでしょう。
この記事では、対象となる事業者や経費、具体的な活用例、第2回・第3回のスケジュール、申請時の注意点について詳しく解説します。
中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業とは?
本事業は、中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇に伴い、原材料費や燃料費、物流費などの高騰の影響を受けている中小企業を支援する制度です。
原材料などのコストが上昇する一方、十分な価格転嫁が難しい中小企業では、利益率の低下など経営への影響が懸念されます。
そこで東京都では、原材料費の縮減や価格転嫁等に向けた取組を行う中小企業に対して、設備・システム等の導入に必要な経費を支援しています。
助成金の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 申請要件を満たす、東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む) |
| 助成率 | 助成対象経費の4/5以内 |
| 助成限度額 | 最大2,000万円 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から1年間 |
| 第2回申請期間 | 令和8年9月1日(火)14時~9月30日(水)16時 |
| 第3回申請期間 | 令和8年11月2日(月)~11月30日(月) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請 |
| GビズID | GビズIDプライムが必要 |
助成率は4/5以内と高く、助成限度額も最大2,000万円と比較的大きな支援となっています。
なお、助成金は後払い(精算払い)です。
事業を実施する際は、まず事業者自身で必要な資金を用意する必要があります。また、交付決定額がそのまま最終的な支給額になるわけではなく、事業実施後の完了検査等によって減額される場合があります。
第2回・第3回の申請スケジュール
現在受付中の第2回に加えて、第3回募集も予定されています。
| 第2回 | 第3回 | |
|---|---|---|
| 申請受付 | 令和8年9月1日~9月30日 | 令和8年11月2日~11月30日 |
| 書類審査 | 令和8年10月~ | 令和8年12月~ |
| 面接審査 | 令和8年11月下旬~12月上旬 | 令和9年1月下旬~2月上旬 |
| 交付決定 | 令和8年12月下旬予定 | 令和9年2月下旬予定 |
※助成金交付申請額が100万円以下の場合は書類審査のみです。申請内容によっては、専門家による事前の現地確認が行われる場合があります。
第2回の締切は迫っていますが、第3回は11月2日から受付開始予定です。
特に設備やシステムの導入を検討している場合は、対象となる取組なのか、必要な見積書等を準備できるのかなども含め、早めに確認しておきましょう。
どんな取組に使える?
この助成金で重要なのは、単純に「値上がりした原材料を購入するための助成金」ではないという点です。
対象となるのは、原材料費の縮減や価格転嫁等につながる取組です。
募集要項では、具体例として次のような取組が紹介されています。
- 建設現場で塗料の使用量を減らす機器の導入
- 不良品を早期に発見し、原材料の歩留まりを向上させる検査装置の導入
- 代替素材を活用した新商品をPRするための展示会出展
- インクの在庫ロスを削減する発注管理システムの構築
つまり、機械・設備の導入だけでなく、システム構築や展示会出展なども対象になり得ます。
たとえば、
「原材料の使用量を減らすために新しい機械を導入する」
「不良品を減らして材料ロスを抑えるために検査装置を導入する」
「在庫ロスを減らすために発注管理システムを構築する」
といった、原材料価格高騰への対策と設備・システム等の導入が具体的につながっている取組が想定されています。
どんな経費が対象になる?
助成対象となるのは、原材料費の縮減や価格転嫁等に向けた取組を実施するために直接必要となる経費のうち、必要最小限で、公社の審査により認められたものです。
主な経費区分は次のとおりです。
- 原材料・副資材費
- 機械装置・工具器具費
- 機器・システム改良費
- 委託・外注費
- 設備等導入費
- システム等導入費
- 専門家指導費
- 販路開拓経費
- その他経費
このうち、販路開拓経費は500万円、その他経費は100万円の上限が設定されています。また、専門家指導費とその他経費は単独では申請できません。
原材料・副資材費については、鋼材、機械部品、電機部品、化学薬品、試験用部品などが対象例として挙げられています。
ただし、販売する製品そのものの材料費や、助成事業終了時点で残っている未使用品、単なる原材料の代替のみを目的とした経費などは対象外となります。
そのため、「何を購入するか」だけではなく、その経費を使うことで原材料費の縮減や価格転嫁にどうつながるのかを整理して申請することが重要です。
申請できる事業者は?
本事業の対象となるのは、申請要件を満たす東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む)です。
法人の場合は東京都内に本店等の登記があること、個人事業者の場合は納税地が東京都内にあることなどの要件があります。
また、登記や届出だけではなく、東京都内の所在地で実質的に事業を行っていることも求められます。事業実態については、申請書や納税状況、ホームページ、看板・表札、電話等の状況、従業員の雇用状況などから総合的に判断されます。
さらに、今回の助成金では、原材料価格高騰などによる経営への影響についても要件が設けられています。
申請受付開始日時点で、次のいずれかに該当する必要があります。
- 直近決算期の営業利益率が、前期決算期と比較して減少している
- 次期決算期の営業利益率が、直近決算期と比較して減少することを見込んでいる
- 直近決算期において営業損失を計上している
そのため、「原材料価格が上がっている」という事情だけではなく、営業利益率の低下など、自社の経営にどのような影響が出ているのかを確認しておく必要があります。
助成対象期間は交付決定から1年間
助成対象期間は、交付決定日から1年間です。
この期間内に、対象経費について契約・実施・支払いまで完了する必要があります。
特に注意したいのが、交付決定前に発注・契約した場合は助成対象外となることです。
たとえば、申請後に採択を見込んで先に設備を注文してしまった場合、その経費が対象外となる可能性があります。
また、期間内に発注していても、納品や支払いが助成対象期間を超えた場合は対象外です。
クレジットカードを利用する場合も、カードを利用した日だけでなく、銀行口座からの引き落としまで助成対象期間内に完了するよう注意しましょう。
100万円を超える申請は面接審査も実施
本事業では、書類審査に加えて面接審査が実施されます。
ただし、助成金交付申請額が100万円以下の場合は面接審査を行わず、書類審査のみとなります。申請内容によっては、専門家が事前に現地を確認する場合があります。
審査では、主に次の4つの視点から確認されます。
① 効果性
原材料高騰の影響をどの程度緩和できるのか、利益率の改善にどの程度寄与するのか。
② 必要性・緊急性
原材料高騰によってどのような影響を受けているのか、その取組がなぜ必要なのか。
③ 取組内容の妥当性
取組内容が本事業の目的に合致しているか、技術的・経営的に合理的な内容になっているか。
④ 実現可能性
取組を実施するための体制などが整っているか。
つまり、設備やシステムを「導入したい」というだけではなく、
原材料価格高騰による具体的な影響 → 今回の取組が必要な理由 → 導入によって期待できる効果まで
一貫して説明できることが重要です。
面接審査にも注意
面接審査は、特段の事情がない限り原則対面形式で行われます。
出席できるのは、事業者の代表者と申請書に記載されている役員・従業員で、最大2名までです。
顧問や経営コンサルタント等の同席や代理出席は認められていません。
また、面接日程の変更はできないとされているため、対象となる場合は、予定されている面接審査期間に対応できるようスケジュールを確認しておきましょう。
対象にならない取組にも注意
助成対象となるのは、原材料費の縮減や価格転嫁等につながる取組です。
そのため、次のような取組は対象外とされています。
- これまで営んできた事業との関連性が薄い、または全くない取組
- 法令改正への対応など、義務的な取組
- 単なる老朽設備の維持・更新など、原材料費の縮減や価格転嫁等に寄与しない取組
- 単なる原材料の代替のみの取組
たとえば「設備が古くなったので、新しい設備に買い替えたい」というだけでは、本事業の目的に合致しません。
設備等を導入することで、原材料の使用量や廃棄ロスをどの程度減らせるのか、価格転嫁等にどうつながるのかなど、本事業の目的との関連性を整理することが重要です。
申請した経費がすべて助成されるわけではない
助成対象経費として申請すれば、その経費が必ず認められるわけではありません。
助成対象となるのは、原材料費の縮減や価格転嫁等の取組に直接必要な経費のうち、必要最小限で、公社の審査により認められた経費です。
たとえば、次のような経費は原則として対象外です。
- 自社の通常業務など、助成事業に直接関係のない経費
- 直接人件費
- 消費税、印紙代などの租税公課
- 振込手数料
- 通信費・光熱費
- 自社の交通費
- 保険料・飲食費・雑費 など
また、交付決定額は最終的に受け取れる助成金額を保証するものではありません。
事業完了後の実績報告・完了検査を経て最終的な助成金額が確定するため、交付決定額から減額される場合があります。
助成金は後払いとなるため、事業実施時には自己資金等で支払いを行う必要があります。
申請はJグランツから
申請は、電子申請システムJグランツによる電子申請のみとなっています。
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
GビズIDの「エントリーアカウント」「メンバーアカウント」では申請できないため、まだGビズIDプライムを取得していない場合は注意しましょう。
申請時には、申請書や誓約書のほか、法人・個人事業者それぞれに必要となる納税証明書や決算関係書類などを提出します。
また、Jグランツでは、一度申請するとJグランツ上で取り下げることができません。
入力内容や添付書類に間違いがないか、申請前に十分確認しておきましょう。
まとめ|第2回は9月30日まで、第3回は11月2日から
「中東情勢による原材料価格高騰に伴う経営基盤安定化緊急対策事業」は、原材料価格などの高騰によって経営への影響を受けている都内中小企業等に対し、原材料費の縮減や価格転嫁等につながる取組を支援する制度です。
助成率は4/5以内、助成限度額は最大2,000万円。
機械・設備やシステムの導入だけでなく、代替素材を活用した新商品の展示会出展なども取組例として示されています。
第2回・第3回のスケジュール
| 第2回 | 第3回 | |
|---|---|---|
| 申請受付 | 令和8年9月1日~9月30日 | 令和8年11月2日~11月30日 |
| 書類審査 | 令和8年10月~ | 令和8年12月~ |
| 面接審査 | 令和8年11月下旬~12月上旬 | 令和9年1月下旬~2月上旬 |
| 交付決定 | 令和8年12月下旬予定 | 令和9年2月下旬予定 |
※助成金交付申請額が100万円以下の場合は、書類審査のみとなります。申請内容によっては、専門家による事前の現地確認が行われる場合があります。
現在受付中の第2回は9月30日までですが、今回の申請に間に合わない場合は、11月2日から始まる第3回募集も検討できます。
ただし、申請には営業利益率の低下等の要件があり、対象となる取組や経費にも細かな条件があります。
また、交付決定前に発注・契約すると助成対象外となるため、設備やシステムの導入を検討している事業者は、先に購入するのではなく、募集要項を確認したうえで準備を進めましょう。
原材料価格の高騰や供給不安の影響を受け、原材料の使用量削減、歩留まりの改善、在庫ロスの削減、価格転嫁に向けた取組などを検討している事業者は、自社が対象になるか確認してみてはいかがでしょうか。
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