テレワークの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めたいものの、
- ノートパソコンを社員分導入したい
- VPNを構築して社外から安全に業務を行いたい
- クラウド会計ソフトや勤怠管理システムを導入したい
- Web会議環境を整備したい
このような設備投資には、まとまった費用が必要になります。
そこで活用したいのが、東京都の「令和8年度 テレワークトータルサポート助成金」です。
本助成金は、テレワーク環境整備に必要な機器やソフトウェア、設置・設定費用などを助成する制度です。さらに、東京都が実施する「テレワークトータルサポート事業」と連携し、相談窓口や専門家によるコンサルティングを受けながら、自社に適したテレワーク環境を整備できる点も大きな特徴です。
この記事では、
- テレワークトータルサポート助成金の概要
- 助成対象者
- 助成率・助成上限額
- 助成対象経費
- 申請スケジュール
- 申請方法
- 活用時の注意点
について、募集要項をもとにわかりやすく解説します。
テレワークトータルサポート助成金とは?
テレワークトータルサポート助成金は、東京都内の中堅・中小企業等を対象に、テレワークの導入・定着・促進を支援する助成金です。
本制度では、機器やソフトウェアの購入費を助成するだけではありません。
東京都が実施する「テレワークトータルサポート事業」と連携し、
- テレワーク導入相談
- ICT専門家によるコンサルティング
- テレワーク規程の整備
- 機器・ソフトウェアの選定支援
- 導入後の運用・定着支援
まで、総合的なサポートを受けることができます。
そのため、「何を導入すればよいかわからない」「自社に合ったテレワーク環境を整えたい」という企業にも活用しやすい制度です。
助成金の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名 | 令和8年度 テレワークトータルサポート助成金 |
| 実施主体 | 公益財団法人 東京しごと財団 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象者 | 東京都内で事業を営む中堅・中小企業等・個人事業主など |
| 対象事業 | テレワーク環境整備 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)または郵送 |
助成率・助成上限額
助成内容は、常時雇用する労働者数によって異なります。
| 常時雇用する労働者数 | 助成率 | 助成上限額 | 委託費上限額 |
|---|---|---|---|
| 2~29人 | 3分の2 | 150万円 | 50万円 |
| 30~999人 | 2分の1 | 250万円 | 62.5万円 |
💡 ポイント
従業員29人以下の企業は、助成率3分の2と手厚い支援を受けられます。一方、30人以上999人以下の企業は、助成上限額250万円まで活用できます。
この助成金の特徴
① 申請前に相談窓口の利用が必須
本助成金は、一般的な助成金のように募集開始後すぐ申請できる制度ではありません。
まずは東京都が実施する「テレワークトータルサポート事業」へ申し込み、相談窓口を利用する必要があります。
相談内容をもとに「相談窓口利用証」が発行され、この利用証が助成金申請時に必要となります。
また、企業の状況によっては専門家によるコンサルティングを受けながら導入を進めます。
② 幅広い設備・ソフトウェアが助成対象
助成対象となるのは、パソコンだけではありません。
例えば、
- ノートパソコン
- デスクトップパソコン
- モニター
- タブレット
- VPNルーター
- ファイアウォール
- UTM
- NAS
- サーバー
- クラウドサービス
- 会計ソフト
- 勤怠管理システム
- Web会議システム
- セキュリティソフト
- パソコンやVPNの設置・設定費
など、テレワーク環境整備に必要な幅広い経費が対象となります。
③ 導入後の運用まで支援
本助成金は、「設備を購入して終わり」の制度ではありません。
導入した設備を活用し、実際にテレワークを実施・定着させることまでを目的としています。
そのため、導入後にはテレワーク勤務の実績報告も必要となります。
助成対象者
対象となる主な事業者は、東京都内で事業を営む中堅・中小企業等です。
主な対象法人は次のとおりです。
- 株式会社
- 特例有限会社
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 医療法人
- 個人事業主
- 弁護士法人
- 税理士法人
- 行政書士法人
- 社会保険労務士法人
- NPO法人(一定要件あり)
また、申請するためには主に次の要件を満たす必要があります。
- 東京都内で事業を営んでいること
- 都内勤務の常時雇用労働者を2人以上雇用していること
- うち1人以上は6か月以上継続して雇用していること
- 労働関係法令を遵守していること
- 都税の未納がないこと
- 過去5年間に重大な法令違反がないこと
💡 パート・アルバイトや派遣社員を対象にする場合
テレワーク対象者に常時雇用ではない労働者(パート・アルバイト等)や派遣労働者を含める場合は、相談窓口の利用だけではなく、専門家によるコンサルティングの利用が必須です。
また、助成対象となる人数は、コンサルティング終了後に交付される「コンサルティング内容確認書」に記載された人数が上限となります。
💡 過去にテレワーク助成金を受給した企業の方へ
東京しごと財団の令和6年度以前の類似テレワーク助成金を受給した企業でも、助成事業実施完了から1年以上経過していれば申請可能です。
ただし、令和7年度テレワークトータルサポート助成金を受給(受給予定を含む)している企業は申請できません。
助成対象経費
本助成金では、テレワーク環境整備に必要なさまざまな経費が助成対象となります。
| 区分 | 対象経費の例 |
|---|---|
| パソコン購入費 | ノートパソコン・デスクトップパソコン |
| 消耗品費 | モニター・タブレット・スマートフォン・周辺機器 |
| 業務ソフトウェア購入費 | CADソフト・会計ソフトなど |
| 委託費 | パソコン設定・タブレット設定・VPN設定 |
| 賃借料 | パソコン等のリース・レンタル |
| 使用料 | クラウドサービス・サブスクリプション型ソフトウェア |
主な上限額
- ノートパソコン・デスクトップパソコン:1台あたり税抜10万円まで
- モニター・タブレットなど:税込1,000円以上10万円未満
- パソコン・タブレットの設置・設定費:1台あたり税抜3万円まで
- VPN設定費:1申請につき税抜15万円まで
- クラウドサービス・リース料・サブスクリプション型ソフトウェア:最長3か月分
VPN設定費を申請する際の注意点
VPN設定に係る委託費は、1申請につき税抜15万円までが助成対象です。
また、VPN設定に伴い社内へ設置する
- VPNルーター
- ファイアウォール
- UTM
- NAS
- サーバー
については、実際にVPN設定を行う機器1台のみ本体購入費が助成対象となります。
さらに、Web会議用機器である
- モニター
- Webカメラ
- スピーカー
- マイク
は、それぞれ各1台まで助成対象です。
委託内容が不明確であったり、実績報告時に設定作業の履行が確認できなかったりする場合は、委託費や対象機器の費用が助成対象として認められない場合があります。
助成対象外となる主な経費
次のような経費は助成対象となりません。
- 中古品・新古品・整備済み品
- アウトレット品
- オークション等で購入した機器
- 支給決定前に契約・購入した機器
- 消費税
- 振込手数料
- 送料
- 保守費
- 助成対象外の社内設置機器
- 他の補助金・助成金と重複して補助を受ける経費
💡 ポイント
クラウドサービスや複数年契約のソフトウェアについては、契約期間全体ではなく最長3か月分のみが助成対象となります。また、同一経費について国や東京都など他制度の補助を受けることはできません。
申請スケジュール
令和8年度の申請受付期間は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付期間 | 令和8年5月29日(金)~令和9年2月5日(金) |
| 助成事業実施期間 | 支給決定日から4か月以内 |
| 実績報告期限 | 支給決定日から5か月以内 |
※予算の範囲内で受付が行われるため、申請状況によっては受付が早期終了する場合があります。導入を検討している場合は、早めに相談窓口へ申し込み、準備を進めましょう。
申請方法
本助成金は、次のいずれかの方法で申請できます。
- Jグランツ(電子申請)
- 郵送申請
代理申請を行う場合の注意点
Jグランツでは、行政書士や社会保険労務士などによる代理申請はできません。
申請企業の代表者または担当者が電子申請を行う必要があります。
行政書士などへ申請手続きを依頼する場合は、委任状を添付した郵送申請となります。
申請から助成金受給までの流れ
本助成金は、相談から実績報告まで一連の流れで進める制度です。
STEP1 相談窓口へ申し込む
まずは東京都が実施する「テレワークトータルサポート事業」へ申し込みます。
企業の現状や導入予定の設備について相談を行い、「相談窓口利用証」の交付を受けます。
この利用証がなければ助成金を申請することはできません。
STEP2 専門家によるコンサルティング
必要に応じて、ICTやテレワークの専門家によるコンサルティングを受けます。
主な支援内容は、
- 業務の棚卸し
- ICT機器の選定
- テレワーク規程の整備
- セキュリティ対策
- 運用方法の提案
などです。
STEP3 助成金を申請
相談窓口利用後、必要書類を提出します。
主な提出書類は、
- 事業計画兼支給申請書
- 助成金額計算書
- 見積書
- テレワーク環境構築図
- その他必要書類
となります。
STEP4 支給決定後に契約・購入
助成対象となる機器やサービスは、必ず支給決定後に契約・購入してください。
支給決定前に契約・発注・購入した機器やサービスは助成対象外となります。
STEP5 テレワークを実施
導入した機器やソフトウェアを活用し、テレワーク勤務を実施します。
助成金を受けるためには、
- 対象者全員が6回以上テレワーク勤務を実施すること
が必要です。
また、「在宅勤務」と「モバイル勤務」の両方で申請する場合は、それぞれを1回以上実施したうえで、合計6回以上実施する必要があります。
STEP6 実績報告・助成金受給
助成事業完了後、実績報告書類を提出します。
提出書類の審査後、助成額が確定し、助成金が支給されます。
実績報告時に必要な履行確認書類
実績報告では、「購入したこと」だけではなく、実際に導入・設定され、利用できる状態であることを証明する資料を提出する必要があります。
パソコン・タブレット・スマートフォン
次の書類を提出します。
- 箱から出した状態で、導入したすべての機器が写った外観写真
- 製造番号(シリアル番号)が確認できる画面キャプチャ
VPNルーター・NASなどの機器
VPNルーターやNASなどについては、
- 外観写真
- 製造番号が確認できる写真
を提出します。
ソフトウェア・クラウドサービス
導入型ソフトウェアの場合は、
- ライセンス情報が確認できる画面キャプチャ
クラウドサービスの場合は、
- 利用開始メール
- 利用証明書
- アカウント情報
- ログインユーザーID(パスワードは不要)
などの提出が必要です。
委託作業を行った場合
パソコン設定やVPN設定などを委託した場合は、
- 設定後に正常に利用できることが確認できる画面キャプチャ
を提出します。
また、審査の必要に応じて、
- 設定書
- 作業手順書
- 作業チェックシート
- テスト仕様書
- 結果報告書
などの提出を求められる場合があります。
💡 ポイント
申請時に委託内容が不明確であったり、実績報告時に設定作業の履行が確認できなかったりした場合は、委託費や対象機器の費用が助成対象として認められないことがあります。
写真や設定画面、作業報告書などは導入時から整理・保管しておきましょう。
活用時の注意点
申請前に、次のポイントを確認しておきましょう。
① 相談窓口の利用は必須
相談窓口を利用し、「相談窓口利用証」の交付を受けなければ申請できません。
② 支給決定前の契約・購入は対象外
契約・発注・購入・リース契約などは、必ず支給決定後に行いましょう。
③ テレワーク勤務実績が必要
導入した機器を活用し、対象者全員がテレワーク勤務を実施する必要があります。
④ 「テレワーク東京ルール実践企業宣言」への登録
実績報告時までに、
- テレワーク東京ルール実践企業宣言
- テレワーク推進リーダー設置
の登録・宣言書発行を完了しておく必要があります。
⑤ 実績報告資料は必ず保管する
購入時の写真やシリアル番号、ライセンス情報、設定画面、委託作業報告書などは、実績報告時に必要となります。
よくある質問(FAQ)
Q. ノートパソコンだけ購入しても助成対象になりますか?
はい。ノートパソコン・デスクトップパソコンは1台あたり税抜10万円まで助成対象となります。
Q. 中古パソコンやアウトレット品は対象になりますか?
いいえ。
中古品、新古品、整備済み品、アウトレット品、オークションなどで購入した機器は助成対象外です。
Q. クラウドサービスは何か月分まで助成対象ですか?
クラウドサービスやリース料、サブスクリプション型ソフトウェアは、最長3か月分が助成対象です。
Q. パソコンの送料や振込手数料も助成対象ですか?
いいえ。
送料、振込手数料、消費税などの間接経費は助成対象外です。
Q. IT導入補助金など他の補助金と併用できますか?
同じ機器やソフトウェアなど、同一経費について他の補助金・助成金との重複受給はできません。
Q. 過去にテレワーク助成金を受給しています。申請できますか?
令和6年度以前の類似助成金は、助成事業実施完了から1年以上経過していれば申請可能です。
ただし、令和7年度テレワークトータルサポート助成金を受給(受給予定を含む)している場合は申請できません。
Q. 役員もテレワーク対象者になりますか?
本助成金は、原則として労働者を対象としています。
役員については対象要件が異なる場合があるため、事前に募集要項や相談窓口で確認することをおすすめします。
まとめ
令和8年度テレワークトータルサポート助成金は、東京都内の中堅・中小企業等を対象に、テレワーク環境整備を支援する助成金です。
パソコンやVPN機器、クラウドサービス、業務ソフトウェアなど幅広い経費が対象となるほか、専門家によるコンサルティングも受けられるため、初めてテレワーク環境を整備する企業にも活用しやすい制度です。
一方で、
- 事前相談が必須
- 支給決定前の契約・購入は対象外
- テレワーク勤務実績が必要
- 「テレワーク東京ルール実践企業宣言」の登録が必要
- 実績報告では履行確認書類の提出が必要
など、一般的な助成金とは異なる要件もあります。
募集要項をよく確認し、スケジュールに余裕を持って準備を進めましょう。
令和8年度テレワークトータルサポート助成金
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