1. なぜ今「年収の壁対策」が必要か?
配偶者控除の年収要件(いわゆる「年収の壁」)により、多くの主婦・パート・アルバイトが「扶養を外れたくない」という理由で労働時間を制限しています。
この構造的課題に対し、東京都が独自に導入したのが「年収の壁突破 総合対策促進奨励金」です。
企業が就業規則を見直し、社会保険加入や配偶者手当の要件変更を行えば、最大50万円の奨励金を受け取ることができます。
2. 「年収の壁突破 奨励金」とは?【抽選制】【最大50万円】
令和7年度(2025年度)から始まった東京都の新制度で、中小企業等が対象従業員の働き方を支援する取り組みを行うことで、奨励金が支給されます。
🟢 2つのコース概要と金額
| コース | 内容 | 奨励金額 |
|---|---|---|
| 社会保険加入促進コース | 社会保険の加入を後押しする制度変更 | 30万円 |
| 配偶者手当見直しコース | 配偶者手当の収入制限ルールを見直す | 30万円 |
| 両方実施 | 両コースを満たす取り組みを実施 | 最大50万円(※合算は60万円ではありません) |
⚠️ 注意! 両コースを実施しても合計で「最大50万円」までです。60万円ではありません【募集要項P.9より】
3. 受給対象となる事業者の条件
以下の条件すべてを満たす事業者が対象です。
- 東京都内で事業を営んでいること
- 都内の事業所で6ヶ月以上継続して勤務している常時雇用労働者を1名以上雇用していること
- 労働基準監督署に就業規則を届け出ていること
- 制度改定前に、同様の見直しを行っていないこと
- 所定の「専門家による個別相談」を交付決定後3ヶ月以内に2回受けること(うち1回目は交付決定から1ヶ月以内)
4. コース別の取組内容と注意点【順番を守らないと不支給】
🟢 社会保険加入促進コース(30万円)
非正規従業員の社会保険加入を後押しするため、社会保険料を補助する手当を創設・制度化する取組です。
✅ 対象となる主な取組
- 社会保険料負担を軽減する新手当の制度化
- 社保未加入者を新たに加入
- 労使協定の締結 → 就業規則の改定 → 労基署への届出
- 関連する社内研修の実施
- 専門家との個別相談(2回)※1回目は1ヶ月以内に実施!
⚠️ 順番を間違えると奨励金は支給されません!
必ず「労使協定 → 就業規則改定 → 労基署提出」の順で進めてください【募集要項P.6】
🟣 配偶者手当見直しコース(30万円)
年収要件で制限されていた配偶者手当の運用ルールを見直すことで、非正規従業員の働きやすさを向上させる取り組みです。
✅ 対象となる主な取組
- 配偶者手当の収入制限を緩和または撤廃
- 配偶者手当を別の手当に置き換え
- 配偶者手当を基本給に組み込む
そして、以下も要件です。
- 見直し内容を反映した就業規則の改定
- 労使協定の締結(必要に応じて)
- 労基署への届け出
- 社内研修と個別相談2回の実施
5. 申請手続きと流れ
📝 申請の基本フロー
- 事前エントリー(抽選制)に申し込み
- 当選通知を受け取る
- 必要書類の準備と提出(交付申請書・誓約書・納税証明書など)
- 交付決定通知を受領
- 専門家との個別相談(1回目は交付決定から1ヶ月以内に実施!)
- 労使協定の締結・就業規則の改定・研修などの取り組みを実施
- 実績報告書を提出
- 審査を経て、奨励金の支給
⚠️ 当選から1か月以内に交付申請しないと無効になります。
書類の準備はエントリー前から進めておきましょう【募集要項P.15】
✅ ここがポイント!
- ⚠️ 「労使協定」→「就業規則改定」→「労基署提出」の順序を守らないと不支給!
- ⚠️ 個別相談は2回必須。1回目は交付決定日から1ヶ月以内、2回目は3ヶ月以内に実施
- ⚠️ 電子申請には「GビズIDプライム」が必要。取得には1~2週間かかるため早めに申請
- ⚠️ 納税証明書は「都税事務所」発行分が基本(※個人事業主は区市町村発行分も必要)
税務署(国税)発行の証明書は無効です
6. 最新スケジュール(2025年12月時点)
| 回 | エントリー期間 | 交付決定時期 | 実績報告 | 支給時期 |
|---|---|---|---|---|
| 第8回 | 2025年12月1日~12月26日 | 2026年1月中旬 | 3月〜5月頃 | 6月頃 |
| 第9回 | 2026年1月5日~1月30日 | 2026年2月中旬 | 4月〜6月頃 | 7月頃 |
| 第10回 | 2026年2月2日~2月27日 | 2026年3月中旬 | 5月〜7月頃 | 8月頃 |
🎯 直近の締切は「2025年12月26日(金)」です。
当選後の申請期限も短いため、準備は今すぐ始めましょう!
7. よくある間違い・落とし穴まとめ
| 間違い | 正しい知識 |
|---|---|
| 2コース実施で60万円もらえると思っていた | 上限は50万円までです(P.9) |
| 順番を気にせず改定を進めた | 必ず「労使協定→就業規則改定」の順で(P.6) |
| 個別相談を1回だけ受けた | 2回必須。1回目は1ヶ月以内(P.6, 19) |
| 税務署で納税証明書をもらった | 都税事務所、個人は区市町村分も必要(P.28) |
| 当選後にのんびり準備した | 1ヶ月以内に申請しないと失効!(P.13) |
8. 実例紹介|企業と従業員の「うれしい声」
実際に制度を活用した企業や従業員から、こんな声が寄せられています。
🎤 従業員A
「年収の壁を気にせず、フルで働けてキャリアアップできた!」
🎤 事業主
「年末の繁忙期に人手不足が解消し、残業も削減できました。」
🎤 男性従業員
「配偶者手当が見直され、世帯収入が増えました!」
🏁 まとめ|制度を“使いこなす”ことが未来を変える
年収の壁突破 総合対策促進奨励金は、単なる「助成金制度」ではありません。
企業にとっては制度整備による人材活用のチャンス、
従業員にとっては収入アップとキャリア形成の好機です。
この「壁」を越えられるかどうかは、企業の一手にかかっています。
「年収の壁突破」総合対策促進奨励金
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