東京都の奨励金でカスハラ対策!一律40万円で従業員を守る方法とは?【中小企業向け】

カスタマーハラスメント(通称「カスハラ」)は、現場で働く従業員のメンタルを蝕み、企業の生産性や雇用の安定にまで影響を及ぼす深刻な課題となっています。

そんな中、東京都は中小企業のカスハラ対策を後押しするため、「カスハラ防止対策奨励金(一律40万円)」を支給する制度をスタートさせました。

この記事では、奨励金の概要から、通りやすい申請のポイント、具体的な対策事例まで、わかりやすく解説します。

1. なぜ今、カスハラ対策が必要なのか?

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先が企業の従業員に対して、理不尽な要求や威圧的な言動を行う行為を指します。

よくある例としては、

  • 「責任者を出せ!」と怒鳴り散らす
  • 土下座を強要
  • 長時間にわたるクレームの繰り返し
  • SNSや家族への中傷

といったケースが現場で頻発しています。

こうしたハラスメントが原因で、離職やメンタル不調が相次いでいることを受け、東京都は本格的な対策を後押しすべく「奨励金」という形で企業を支援しています。

2. 東京都の「奨励金制度」とは?

✅名称:カスタマーハラスメント防止対策推進事業(企業向け奨励金)

  • 対象:東京都内の中小企業等
  • 支給額:40万円(一律)
  • 支給方式:後払い(取り組み実施後に申請)
  • 申請回数:年3回の募集予定(第2回は9月予定)

3. 奨励金を通すための3つのポイントと実践的取組例

申請には、「カスハラ対策マニュアルの作成・周知」が必須です。
そのうえで、次の①〜③のうちいずれか1つの実践が必要です。


✅ マニュアル整備は全社共通で必須!

  • 対応手順を明記したマニュアル作成
  • 社内への周知(掲示・研修・配布)
  • 条例の記載、企業方針の明文化

✅ 取組①:録音・録画環境の整備

  • 📌 OK例:
     録音機能付き電話機の導入、監視カメラの新規リース(6ヶ月以上)
  • ⚠️ NG例:
     既存機器の更新/スマホの録音アプリ/1都の拠点のみ整備

✅ 取組②:AIを活用したシステム導入

  • 📌 OK例:
     AIによる感情認識・音声分析システムの導入
  • ⚠️ NG例:
     無料トライアルのみ/6ヶ月未満の契約/家庭向けAI製品

✅ 取組③:外部人材の活用

  • 📌 OK例:
     弁護士・社労士との継続契約、警備会社との契約
  • ⚠️ NG例:
     セミナーのみ受講/無料相談だけ/個人名義契約の警備会社

4. 取組②+③を組み合わせた理想的なカスハラ対策事例

以下は、複数の対策を組み合わせた理想的な実践例です。


✨【Before】

  • クレーマーが「責任者を出せ!」と怒鳴る
  • 若手スタッフは対応に困り、ストレス過多

✅【After】

  • 「カスハラお断り」の掲示を店頭に表示
  • 通話・会話はAI録音システムで記録
  • 警備会社と契約しており、問題時は速やかに引き継ぎ
  • スタッフはマニュアルに基づき冷静に行動

このように「録音体制」+「外部連携」+「マニュアル周知」の3つを実行することで、現場の安心感が大きく向上し、従業員の定着率改善にもつながります。


5. NG例に注意!奨励金対象外になる取組とは?

実施内容があっていても、要件を満たさないと不支給になるケースがあります。

❌ よくあるNG事例

  • 汎用AIチャットボット(カスハラ対策に限定されない)
  • 家庭用の録音・監視機器
  • 契約日が令和7年3月31日以前のもの
  • 6ヶ月未満の短期契約
  • 代表者の個人名義での契約・領収書
  • 無料体験・無料ツール

申請前に、契約日・契約形態・使用用途の確認を徹底しましょう。


6. 奨励金の申請方法と流れ

📌申請の基本フロー

  1. 取組実施(マニュアル+①〜③の1つ以上)
  2. GビズID取得(未登録の場合)
  3. Jグランツにてオンライン申請
  4. 審査(約3ヶ月)
  5. 決定通知 → 奨励金請求 → 約1ヶ月後に入金

⚠️注意事項

  • 補助金ではなく「奨励金」(支給後の返還リスクあり)
  • 法人名義と契約名義は必ず一致させること
  • 奨励対象であることを証明する資料の提出が必須
  • 内容に虚偽がある場合は、返還および法的責任が発生

7. まとめ:カスハラ対策は企業の信用を守る「投資」

カスハラを放置すれば、従業員の離職や企業の評判低下につながる一方、適切に対策を講じれば、「働きやすい職場づくり」「顧客との健全な関係構築」につながります。

東京都の奨励金制度は、その第一歩として非常に有効です。


✅活用ポイントまとめ

  • カスハラ対策マニュアルは全社で整備
  • 対象となる①〜③の取組を実行
  • NG例や契約条件には要注意!
  • 奨励金は後払い方式。取組後すぐに申請OK!

📎参考リンク

奨励金(企業向け)

・TOKYOノーカスハラ支援ナビ
顧客等からの過大な要求や不当なクレームから働く人を守る上での対応方法や、そうした言動が適切でないことを理解して頂くためのコンテンツなどを発信しています。

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