1. クラウドファンディング活用助成金とは?|東京都による創業支援の新制度
東京都では、起業家や創業希望者を支援するために、「クラウドファンディング活用助成金」という制度を用意しています。
これは、クラウドファンディング(以下CF)を活用する際にかかる手数料やページ作成費、広告宣伝費等の一部を、返済不要の助成金として支援する制度です。
制度の主な目的
- CFという新しい資金調達手段を普及・促進
- 創業初期の資金負担を軽減
- 社会課題・地域課題に取り組む事業者を支援
東京都内で事業を開始・運営する予定がある起業家が、CFでプロジェクトを成功させた後に申請することで、対象経費の最大100万円まで助成を受けることができます。
2. 助成の対象者と条件|申請できるのはどんな人?
本助成金を活用するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
以下が主な申請条件です。
✅ 主な対象者
- 東京都内で事業を開始または営んでいる中小企業・個人事業主
- 指定されたCFプラットフォーム上でプロジェクトを「成功」させた者
- 助成対象経費の支払いが完了していること
- 同一プロジェクトで他の助成金を受けていないこと
✅ 対象となるプロジェクト
- 創業・新サービス・製品開発
- 環境配慮・デジタル活用型のビジネス
- コロナ禍・物価高騰等への事業再構築対応
- ソーシャルビジネスや地域課題解決型の事業
クラウドファンディングを「実施しただけ」では対象にならず、実際に目標金額を達成して成功していることが申請の前提条件となります。
3. 助成内容と金額|1/2と2/3補助の違いとは?
本制度には、プロジェクトの内容に応じて2つの補助率区分があります。
区分 | 補助率 | 上限額 | 主な対象プロジェクト |
---|---|---|---|
1/2補助 | 経費の50% | 最大80万円 | 創業、新製品・新サービス、一般的な事業 |
2/3補助 | 経費の66.6% | 最大100万円 | ソーシャルビジネス、事業再構築、環境対応など |
🧮 具体的な例
- 経費160万円 → 1/2補助 → 80万円支給
- 経費300万円(事業再構築)→ 2/3補助 → 100万円(上限)支給
🟡 注意点
- 助成金は「後払い方式」なので、対象経費は自己負担で一旦支払う必要があります。
- 助成対象経費の領収書や支払証明の提出が必須です。
4. 実務でつまずかないための活用ポイントと注意点
この助成金は制度設計が明確で使いやすい反面、実務上で見落としがちなポイントもあります。
以下のような点に注意することで、申請から受給までをスムーズに進めることができます。
✅ ポイント①:プロジェクトを目的ごとに分ける
1年度あたり最大4回まで申請可能ですが、同一内容のプロジェクトでは申請できません。
そのため、プロジェクトの目的を事前に分けて設計しておくのが効果的です。
例:
- プロジェクトA:商品開発のためのクラファン
- プロジェクトB:販売促進用の広報施策に関するクラファン
- プロジェクトC:店舗設営費を集めるクラファン
プロジェクトごとに経費も整理しやすくなり、助成金の活用範囲を広げることができます。
✅ ポイント②:助成対象経費の選定は慎重に
助成の対象になるのは、クラウドファンディングの実施・広報に直接関連する経費です。
商品製作費や人件費などは対象外となるため、計画段階で経費の仕分けが必要です。
対象経費(OK) | 対象外経費(NG) |
---|---|
CFサイト手数料 | 製品製作費 |
決済手数料 | 人件費 |
広報広告費(SNS広告等) | 消費税、交通費など |
✅ ポイント③:ページ制作段階で助成を意識する
クラファンページの構成・説明文・画像などを作成する段階で、助成対象経費に該当する部分を明確にしておくと、後の申請作業が格段に楽になります。
例:
- 外注した画像制作費用 → 請求書を保管
- ページ構成ディレクション → 外注契約書を保管
✅ ポイント④:領収書・証憑はすべてデジタル管理
助成金の申請には、**すべての経費に対する証憑類(領収書、支払履歴など)**の提出が必要です。
特にオンライン決済の場合は、PDFで保存しておくと便利です。
📁 おすすめ:経費ごとに「支払い日」「業者名」「金額」「内容」を記録した一覧表を作成しておく
✅ ポイント⑤:スケジュールは逆算で考える
助成対象期間は「令和7年4月1日〜令和8年3月16日」。
この期間中にクラウドファンディングを成功させ、対象経費を支払っていることが条件です。
そのため、以下のスケジュールを逆算して考える必要があります:
- いつCFを開始するか
- いつ支払いが発生するか
- いつ申請書を提出するか
- 審査〜交付決定〜支給までの期間
5. よくあるミスと不採択リスクを防ぐポイント
実際に制度を活用する中で、以下のような点でミスが起きやすいため注意が必要です。
❌ よくあるミス:
- 助成対象外の費用を申請してしまう
- 同一内容のプロジェクトで複数回申請
- 領収書の記載内容が曖昧・不備がある
- CFの成功後に「対象事業者でない」と気づく
✅ 防ぐには:
- 対象CF事業者を事前に確認
- 経費内容をエクセルで整理
- 必要な書類はすべてデジタル保存
- 不明点は早めに制度窓口に相談
✅ まとめ|「制度を知る者」が資金調達を制す
クラウドファンディング活用助成金は、創業初期の資金調達における強力な武器です。
自己資金が限られていても、クラファンで実績を作り、助成金でコストを軽減するという流れが確立できます。
📌 成功の鍵は以下の通り
- CFと助成金をセットで計画する
- 経費を明確に分け、証憑を保管
- プロジェクトの目的を分けて最大4回まで活用
- 制度のルールを正しく理解し、準備を怠らない
制度を使いこなせば、単なる資金調達にとどまらず、マーケティング・ブランディング・顧客獲得にも波及効果があります。
資金調達の新常識として、この制度をぜひあなたの起業計画に取り入れてみてください。
公式ページ👉 「クラウドファンディング活用助成金」ページ
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